3 5×3情報カードによるメモ管理 〜カードを使った超アナログタスク管理〜

前章で、43Tabsはメモ整理の一部分を担う存在であることが明らかになりました。


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メモする媒体は、5×3情報カード。となると、5×3情報カードのメモをいかにして整理していき、記憶の肩代わりをしてもらうのか。その全体像について考えていきたいと思います。

3.1 PoICシステム

「PoIC(Pile of Index Cards: 情報カードの積み重ね)」という、5×3情報カードを使った情報整理・組織化の方法があります。「PoIC」にてその全容が解説されており、とても整備されたシステムが構築されています。

PoICでは、5×3情報カードにメモをする情報のすべてを、「発見」「記録」「参照」「GTD」の4つのタグのいずれかをつけて、書いた順に蓄積していきます。4つのうちの「GTD」とは、つまりは、「タスク」の書かれたカードのこと。そこで、今後は、「発見」「記録」「参照」「タスク」として、話を続けていくことにします。

PoICは、情報を蓄積していく、かなり整備されたシステムです。PoICのほかにも、情報の蓄積、と聞いて、今ではかなりスタンダードになってきた存在が思い浮かびます。緑色の象さん、「Evernote」です。アナログな管理のPoICに対し、Evernoteはデジタルを代表する、情報の蓄積場所として挙げられます。

3.2 EvernoteとPoIC

Evernoteは、「すべてを記憶する」をコンセプトとしている、クラウドサービスです。テキストメモからPDFのファイル、音声や動画まで、様々なファイルを保管することができ、ネットにつながりさえすれば、それらをいつでも確認できる、すぐれものです。メモ置き場として、Evernoteを利用している人も多いのではないでしょうか。

となると、5×3情報カードメモと、Evernoteメモのすみわけをどのようにすべきか、という問いを立てることができます。

■時系列に並び、検索に優れるEvernote

Evernoteでは、作成したノートは、作成順または更新順に、時系列に並んでいきます。そして、検索能力に優れています。そのEvernoteの特性を生かしつつ、苦手なところは補っていく。そこで、PoICでの「発見」「記録」「参照」「タスク」という4分類について、一つひとつ見ていくことにしましょう。

●「記録」

まずは、「記録」です。「記録」は、時系列に並んでも問題ない、というよりも、時系列で並んでくれるとうれしい。

「記録」とは、食べたものや行ったところなど、普段の生活の一部分を、写真や文章で切り取ったもののことを意味しています。朝起きた時間や、睡眠のログ、朝ごはんには何を食べ、日中どう過ごし、晩ご飯には何を食べ、何時に就寝したのか。そういった情報をEvernoteに「記録」として残しています。「ライフログ」とも言い換えることができます。

ライフログ」系の記録は、その内容からわかるように、時系列に並んでいるほうが、一日をより鮮明に残すことができますし、順番を入れ替えたい、というニーズもありません。となると、時系列にそって保存していくEvernoteが、「記録」を残す場所としては最適である、ということになります。

●「参照」

PoICにおける「参照」の定義は、


本・テレビ・ウェブからのことばの引用、料理のレシピなどは、四番目の「参照カード」に分類されます。これは、「自分以外の他の誰かのアイディア」を記すカードです。

とされています。ぼくはこの定義に加え、「自分のアイデア育て、形にしたもの」も含めて、「参照」としています。

そこで、「参照」の定義として新たに、

  • 「自分や、自分以外の誰かのアイデア・考えがまとめられているもの」

としておきます。

例としては、ブログの記事が挙げられます。ブログは、「アイデア・考えを人にわかる形で書いたもの」と考えることができるからです。

この「参照」は、何かを考えたりするときの資料として機能してくれます。資料は、必要であれば取り出して、参照するもの。取り出すときには、「検索」する必要が出てきます。「検索」は、Evernoteが得意とするところ。となれば、「参照」の保存場所も、Evernoteが適している、と考えることができます。

また、Evernoteへは、ウェブの情報を簡単に放り込んでおくことができます。読んでいて「これは有用だ」と感じた情報を、手間なく保存することができます。

Evernoteは、ウェブ上の情報、自分以外の誰かのアイデアを、「参照」として置いておく場所として適している、と言えるでしょう。

■俯瞰性・並び替えは苦手

Evernoteは、PCやタブレットにおいて利用するので、どうしても「画面の制約」をうけてしまいます。また、作成されたノートは時系列に並ぶため、任意に入れ替える、ということも容易ではありません。

●「発見」

PoICにおける「発見」とは、ふと思いついたアイデア・着想のこと。メモを常に持ち歩く大きな理由は、この「発見」を、もらさずとらえるため、と言えます。では、とらえた「発見(着想)」は、どのような状態で保管されているのが好ましいでしょうか。

一つひとつの「発見」は些細なものでも、それが集まると、互いに刺激しあい、ムクムクと成長することがあります。そして、ただ単に「発見」を書きためていくよりも、見返し、並び替え、組み合わせを考えたほうが、より成長は促されます。「発見」のメモは、あれやこれや任意に配置できたり、並び替えることができたほうが嬉しいわけです。

となると、Evernoteは「発見」の保存場所としてはあまり向いていない、ということになります。時系列以外の並び替えがやりにくいEvernoteにて、並び替え、組み合わせを考えることは少し無理があります。

また、Evernoteはどうしても「画面の制約」をうけます。そのため、とらえた「発見」を、表示できる数が限られてしまいます。俯瞰的に眺めることが難しいわけです。この点も、Evernoteは「発見」を書きためる場所としては不向きである、と感じる理由の一つです。

●「タスク」

残る一つは「タスク」。タスクはどのシステムで扱っていくのか。Evernoteで扱うべきなのかどうなのか。

タスクで重要なのは、実行日であって、そのタスクが作成された日ではありません。なので、作成日順に並べられるのはうれしくない。任意の順番で並べることができたほうが嬉しい。となると、Evernoteでの管理は少し手間取りそうであることが想像できます。

以上、PoICの分類項目である「発見」「記録」「参照」「タスク」の4つについてみてきました。その中で、「記録」と「参照」は、情報が時系列に並び、なんでもかんでも保管でき、強力な検索機能を有するEvernoteに受け持ってもらうのが良さそう。「発見」と「タスク」は、Evernoteに預けたら、少し扱いに手間取りそうであることが見えてきました。

そこで、Evernoteに預けない「発見」と「タスク」を、5×3情報カードによって蓄積・運用していこうと言うわけです。

3.3 「タスク」は43Tabsにて

「発見」「タスク」のうち、「タスク」を管理するシステムこそ、「43Tabs」です。実際、先に紹介した「43Folders ならぬ 43Tabs」記事内においても、「発見」「記録」「参照」「タスク(GTD)」のうちの「タスク」のみが、未来の予定についてのメモであることから、他の3つとは別に管理していくほうが良いと結論されています。そしてさらに、それぞれの向き・不向きを考え、「記録」と「参照」はEvernoteに預け、「発見」のみをPoIC的に蓄積していきます。


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この章では、「タスク」というものは、メモの中の「やることの書かれたメモのことである」という考えから、メモ全体をどのように扱うか、整理するか、ということについて、考えてきました。「記録」と「参照」はEvernoteにて、「発見」と「タスク」は、5×3情報カードに書き込むことで逃さずキャッチし、PoICと43Tabsによって管理していく。これが、5×3情報カードによるメモの扱い、すべてのメモの扱いの、基本スタンスとなります。

ここまでで、一度、メモの扱いの全容を俯瞰してみることで、43Tabsの位置づけがあきらかになってきました。では実際に、次章からは、43Tabsをどのように運用していくのか、具体的に見ていくことにしましょう。