1-3 知的生産にたずさわるものの、基本的な心得 ー『Evernote×情報カード知的生産』第1章 知的生産とはー

知的生産にたずさわるものの、基本的な心得

ものごとは、記憶せずに記録する

「知的生産の技術」にて掲げられている、知的生産をするために、前提となってくることです。

頭で覚えておくよりも、とにもかくにもメモをしなさいよ、という心得です。

「着想」はとても儚い存在ですが、ただただ消え去っていくのを、指をくわえて待っているだけしかできない、なんてことはありません。「着想」は、捉えることができる。それが、「メモをとる」という行為なわけです。

自分が考えたこと、思いきなどの、儚い存在である「着想」は、文章という形で残しておくことができます。その場でメモをしさえすれば。

「着想」をメモすることで、それはのちのち「資料」として活用することができます。儚い「着想」は、メモをし、「資料」にしてあげることで、長い命を与えることができるわけです。

今まで自分が考えたことなど、書き記したことがない、というのであれば、まずは、とにかくメモをとってみることをおすすめします。1週間、いや、3日間でいいので、メモを書き散らかしてみてください。それも、話を聞いて内容をメモするとかではなく、ふと頭をよぎったこと、思いついたこと、何か話していたり読んだりしていて、自分なりに考えたことを、です。3日後、そのメモたちを見返すと、まず間違いなく驚きます。「こんなこと書いたっけ?」「これ、ほんまに自分が考えたことか?」と。過去の自分との出会いを実感するはずです。


昨日思いついたこと、考えたことを、今日もまた思いつけるとは限りません。もちろん、1年後も同じことを考えるなんて保証はまったくない。だからこそ、メモによって考えたことは捉えておかなければ。「着想」を、「資料」として保管しておかなければ。

昨日と今日の自分を比べると、変化しているとはとうてい思えません。実際、さほど変化はしていないのでしょう。でも、人は、短かいスパンでみれば変化していなくとも、長いスパンで自分を見つめてみると、確実に変化しています。でも、その変化は、なかなか実感しにくい。

そこでメモの登場です。自分が考えたことをかける範囲でメモしておき、ある一定期間経ったあと、見返してみる。すると、自分の考えたこととは思えないようなメモに出会います。書いたことがはずかしくなるような、すごくくだらないメモがあれば、なかなか鋭いメモも、「えぇこと書いてるやん」と思うメモもあります。「着想」を記憶にとどめておくのではなく、メモをし、記録して、「資料」として自分の考えを残しておくことで、今の自分とは少し違う、過去の自分と出会うことができるのです。