2-2 規格の統一と、”きりぬき” ー『Evernote×情報カード知的生産』第2章 Evernoteー

規格の統一と、”きりぬき”

Evernoteには、「ノート」という形で、情報は保管されます。ノートには、必ず「タイトル」をつけなくてはなりません。作成・更新日時が付加され、ノートブックに割り振らなければいけません。位置情報やタグがつく場合もありますが、最低でも「タイトル」「作成・更新日時」「ノートブック」という3つのメタ情報が「ノート」には付加されます。どのノートにも必ず、です。

Evernoteに保管する情報は、テキストの他、画像も含まれるでしょうし、音声データやPDF等のファイルを放り込むこともできます。そういった、種類の違うデータに対して、「タイトル」「作成・更新日時」「ノートブック」がメタ情報として付加され、一つの「ノート」として保管される。データの種類によらず、例外はありません。Evernoteに保管することで、種々雑多なデータが、一つの「ノート」として、規格が統一される、ということです。

自分の着想の保管庫として、Evernoteは最適なわけですが、なんでも放り込めるので、自分の着想以外の、資料となりそうなものを保管しておく場としても、とても便利です。Evernoteは、”きりぬき”も容易にしてくれました。

以前であれば、新聞や雑誌の一部分をきりぬき、スクラップ・ブックに貼り付ける、というのが一般的でした。ただ、このスクラップ・ブックに貼り付ける、というのは、なかなかにめんどうくさく、お世辞にもあとで利用しやすい方式とは言えません。そこで「知的生産の技術」では、きりぬきを台紙に貼り付ける、という方法を提唱しています。

スクラップ・ブックをやめて、ばらの台紙にはる、というやり方である。ハトロン紙をA4版のおおきさにきって、その片面にだけ、きりぬきをはりつけた。そして、記事の大小にかかわりなく、台紙一枚に記事一つという原則をかたくまもることにした。

A4の台紙に貼ることで、大きさがそろいます。大きさが揃っている方が、あとで見返すときに扱いやすい。特にきりぬきとなると、大きさはバラバラになってしまいます。それを、A4版という統一の規格を与えるために、台紙に貼る。また、片面にだけ貼りつける理由も、後から見返しやすいようにするためです。両面に貼りつけられていたら、いちいちめくって確認しなければなりませんが、片面であれば、くりながらパパパっと確認できます。つまり、A4という統一の規格を与え、カードのように扱うことができるように、台紙に貼りつける、という方法をとっているわけです。

きりぬきに限らず、資料に対して統一の規格を与える、ということは、情報を扱う際の基本的な心得といえます。

だいたい、知的生産の作業というものは、ひじょうにおおくの場合が、さまざまなシンボルを記入した紙を相手に進行するのである。そのとき、いつも閉口してしまうのは、おおきさにおいても、あつさにおいても、種々雑多な紙がはんらんしていて、どうにも整理がつかぬということなのだ。

では、ここにEvernoteが加わることで、きりぬきを含めた情報の扱いは、どう変化していくでしょうか。

現代では、紙をきりぬく、という作業は、過去に比べて減ってきているように思います。新聞自体も電子化されていたりしますし、インターネット上を探せば、ほしい情報を見つけることができることも多い。紙の新聞や雑誌などでとっておきたいページがあれば、スキャンしてとりこむこともできます。紙をきりぬいて、紙のまま保管しておくのではなく、きりぬいた部分をスキャンしてデータとして保管することができます。

ネットやデータとして存在するものも、実際の紙に印刷されているものも、一緒にまとめて保管しておくことができる。その入れ物として、Evernoteを活用することができるということです。

音声であれ、画像であれ、テキストであれ、どんな形の情報であっても、Evernoteに放り込めば、1つの「ノート」として扱われます。タイトルがついており、作成・更新された日時情報も含まれる、1つの「ノート」。Evernoteに放り込んだ時点で、自然と「ノート」として規格化されるわけです。A4の台紙に貼りつける手間や、それを保管しておくスペースも必要ありません。放り込めば勝手に規格が統一され、扱いやすくなる。

「さまざまなシンボルを記入した”データ”を相手に」知的生産の作業を進行するために、Evernoteは活躍してくれる、ということです。