4-4 書き写す、書き加える ー『Evernote×情報カード知的生産』第4章 知的生産をおこなうー

書き写す、書き加える

「資料」は、くれる状態ーカードのような状態ーが、操作を加えることができ、望ましいのですが、Evernote内の「資料」は、くることができません。今考えていることと関連のありそうなノートをかき集めたとしても、それらに操作を加えることができない。Evernoteの「資料」も、くれる形にしたい。ということで、Evernote内を検索していて、使えそうな、あるいは、大きな示唆を得たノートがあるとします。そういうときは、迷わず内容をカードに書き写すことをおすすめします。

書き写すだなんて、一見、手間以外の何物でもないように感じるかもしれませんが、「資料」をくれる状態に変換するために、必要な行為です。カードに書き写さなければ、Evernote内の情報は操作できる形にはなりません。Evernoteは情報の「保管庫」を担ってもらい、情報カードには、順番をいれかえたり、組み合わせたりの「操作」を受け持ってもらう。「保管庫」の有用な情報は、カードに書き写して「操作」ができる状態に変換し、活用していきます。

Evernoteに、情報をデータとして残しておくことは、書類やメモ書きなどの「物」が散乱せずにすみ、Webの内容も気軽に放り込めるということで、メリットがとても多い。ただ、やはり、放り込んでおいた情報を”活かす”段階では、データをデジタルのまま扱うのは、画面の制約や操作性の制約を受けてしまい、それがそのまま思考の制約となってしまいます。その制約をとっぱらうためにも、カードに書き写す。

これまでは、アナログの象徴である紙などを、スキャンし、データとして残す、「アナログ→デジタル」の向きへの変換が大きな流れでした。今後は、「デジタル→アナログ」向きの変換方法も充実していけばいいのにな、と願っています。データとして蓄積した「資料」を、操作を加えやすい形に変換してくれるような。

「デジタル→アナログ」向きの変換方法は、今はまだ選択肢が少ないので、めんどうであっても書き写すことにしましょう。でも、この、書き写すという行為は、めんどうですが、実はとても重要な行為でもあります。書き写す、実際に手を動かして、カードに内容を書きつけていくと、しばしば新たな着想を得ることもあります。手を動かすと、脳が刺激されますし、文章を書き写すと、読む以上に意識がその文章にいきます。自然とそこから思考が進み、パッとなにかしら思いつくことがある。そんなときは新しいカードを取り出し、そこに思いついたことを書きつけます。

情報カードEvernoteにある資料を見返しながら、新たな着想を得たのであれば、すぐにカードに書き写し、また資料を見返していく。そうやって、考えている事柄に関連のありそうなカードを選び出すとともに、思いついたことは新しいカードに書き加えていきます。

資料を見返し、必要があれば書き写し、考えている事柄に関係のありそうなカードを、くれる状態にそろえていきます。