5-1 保管のかたち ー『Evernote×情報カード知的生産』第5章 整理するー

保管のかたち

「資料」を保管し、必要なときに引き出せるようにしておくことは大切です。「資料」はどう保管されているのが望ましいか。これは、知的生産において、とても重要な問いかけと言えます。

「資料」はどんどん増えていきます。私たちは、日々さまざまな情報に触れていますし、いろいろなことを頭のなかで考えています。有用な情報については、「他者資料」として残しておき、考えたことは書き記し、「自分資料」として蓄積していく。これらを日常的におこなっていけば、「資料」は増え続ける一方です。

増えるにまかせて放っておくと、すぐに収拾がつかなくなり、必要なときに引き出すことができなくなります。必要なものはとっておき、不必要なものは破棄する。とっておいたものについては、種類ごとに分類しておく。増える「資料」は、あとで引き出しやすいように、整理しておく必要があります。

また、「資料」がさまざまな場所に散らばっていると、それはそれで使い勝手が悪くなってしまいます。メモをメモ帳にとったり、ノートにとったりしていると、おいおい必ず「あのメモはメモ帳に書いてあるかな?いや、ノートか?」ということになります。メモ帳とノートだけなら、その2カ所を探せば問題ないのですが、それ以上にあらゆるところに「資料」がちらばっていては、「あの資料は一体どこだ?」となってしまいます。また、とりあえず、今考えていることに関連する「資料」をピックアップしたいようなシーンでも、「資料」があちこちに保管されている状況は、好ましいものではないことは、かんたんに想像できます。「資料」の保管場所は、少ないほうがいい。多くて二、三箇所というところでしょうか。

さらには、人というのは、基本的にめんどうくさいものが嫌いで、「資料」の整理方法がめんどうであれば、どこかでやめてしまい、続きません。毎回の整理に、手間や時間がかかることは、当然避けたいもの。整理が複雑であったり、やたらと細分化して、迷いながら整理するのも、なかなかにストレスです。

増え続ける「資料」を、二、三ヶ所に、手間なく整理して保管しておきたい。「「資料」はどう保管されているのが望ましいか?」という問いかけに対しては、そんな要望がみえてくるわけです。

どう整理するのかは、保管場所が決まらないことには考えることができません。「増え続ける「資料」を、二、三ヶ所に」保管できるような器の、ひとつの解が、Evernote情報カードです。

Evernoteの強みは、「すべて記憶する」ところ。増え続ける資料に対して、Evernoteの容量も、制限が毎月ごとにリセットされるため、増え続けます。テキストだけでなく、画像や音声、映像、PDFやその他ファイルなど、様々な種類の「資料」を保存することができ、データとして残すことができます。保存したデータはもちろん削除できますし、タグやノートブックは、「資料」の整理に役立ちます。

「資料」は、「すべてを記憶する」Evernoteにとりあえず放り込んでおけばいい。そこに情報カードをあわせて利用すれば、知的生産の幅が拡がります。保管のEvernote、操作の情報カード。この2箇所に、「資料」を蓄積していき、手間なく適切に整理し、アウトプットにつなげていく。

この章では、Evernote情報カードの、「資料」の整理方法について考えていくことにします。